リンが暗い部屋に忍び込む。
照明を点けると、ドレイクが椅子にもたれかかっているのが見える。
彼は腕と足を縛られている。
路地にいた時の何千倍もひどい状態のように見える。
リン
リン
ドレイク、私よ。
ドレイクが目を開け、笑顔を見せようとする。
ドレイク
ドレイク
お前のここボス、なかなかやるな。
リン
リン
そう、ジャックは優しいやり方であの地位を得たんじゃなから。
彼女は彼に近づくと、傷口を目にして顔をゆがめる。
リン
リン
ヤツらに殺されるわ。
ドレイク
ドレイク
だろうね。
リン
リン
ギャングの、ラプチャーの提供者さえ教えれば...
リン
リン
私がなんとかできるかもしれない。
リン
リン
逃がしてもらえるよう。
ドレイク
ドレイク
ちょっと遅いんじゃないかな。
リンは彼のそばに跪く。
リン
リン
この状況で、からかってるの?
リン
リン
ギャング仲間に本当の味方はいないでしょう。
リン
リン
彼らに言えないなら、私に言って。
ドレイク
ドレイク
できることならそうする。
リン
リン
本当に知らないのね?
ドレイク
ドレイク
俺が知ってることは、例のドラッグは、ボスがホンジュラスにいた時の知り合いの誰かが持ち込んだってことだけだ。
リン
リン
それ、FBIに伝えた?
ドレイク
ドレイク
もちろん。俺のボスの身元調査を徹底的にやった。
ドレイク
ドレイク
手掛かりは全くない。
ドレイク
ドレイク
彼の親戚がホンジュラスにいるけど、全員シロだった。
リン
リン
わからない。
リン
リン
もしかすると彼の友人がいて―
ドレイク
ドレイク
それはない。LAに来た時に昔の縁は断ち切ってきた。
ドレイク
ドレイク
引き留められたって言ってたけど。
ドレイク
ドレイク
でも恋人がいる。
リン
リン
恋人?
ドレイク
ドレイク
彼女のことをバルベルって呼んでた。舌にピアスをしてるらしい…
リン
リン
ボスがあなたに彼女がいる話をしたのはいつ?
ドレイク
ドレイク
直接聞いたわけじゃない。
ドレイク
ドレイク
ボスは彼女のことは滅多にしゃべらない。
ドレイク
ドレイク
面倒なことに彼女が巻き込まれないようにしてる。
ドレイク
ドレイク
すべておかしな関係なんだ。
リン
リン
おかしいって、どんな風に?
ドレイク
ドレイク
彼は彼女のことを気にかけない。
ドレイク
ドレイク
彼には愛人が何人かいるんだけど、それでもこの女が一番の立場にいる。
リン
リン
その女は別の類のサービスを提供してるに違いないわ。
ドレイク
ドレイク
確かに。彼女に近づくことができれば...
ドレイク
ドレイク
彼女がこの件に関わっているか、わかるはず。
リン
リン
彼女を見たことはないの?
ドレイク
ドレイク
ない。さっきも言ったけど、ボスは彼女を表に出さないようにしてる。
ドレイク
ドレイク
縄張り争いには最高に強いって言ってたけど。
ドレイク
ドレイク
正確にはなんて言ってたかっていうと…
ドレイク
ドレイク
「あの女は狐並みに抜け目がない」
リンはまばたきをし、驚きで体が緊張した。
リン
リン
狐?
ドレイク
ドレイク
そう。自分の恋人のことをそう呼ぶなんて、信じられる?
ドレイクは痛みで顔をしかめた。
ドレイク
ドレイク
お揃いで狐の指輪も買ってたよ。
リン
リン
その狐の指輪、見たことある?
ドレイク
ドレイク
.彼女のはないけど、彼のはいつも見てる。
ドレイク
ドレイク
派手なやつ。あの悪党は全く趣味が悪い。
リン
リン
狐の指輪―こういうの?
ドレイク
ドレイク
どこで手に入れた?
ドレイク
ドレイク
これに間違いない。彼の指輪と同じエメラルドが付いてる。
ドレイク
ドレイク
どこで手に入れた?
リン
リン
友達から。
ドレイクは触ろうとするが、腕を縛られていることを思い出す。
ドレイク
ドレイク
俺に貸して。お前が持ってると知られたら―
リンは手を引っ込める。
ドレイクは椅子にドスンと沈みこむ。
リン
リン
厄介な状況ね。
ドレイク
ドレイク
彼に殺されるよ、リン。
ドレイク
ドレイク
俺のボスは―猟奇的なんだ。
リン
リン
彼に関することは、自分で心配する。
ドレイク
ドレイク
お前を守らないと。
リン
リン
私のことは心配しないで。
リン
リン
本当に。
リン
リン
代わりに、自分のことを心配して。
リン
リン
あなたをここから出さないと。
ドレイクは含み笑いをするが、新たな痛みを感じ表情が変わり、目を閉じる。
ドレイク
ドレイク
たいした救世主だよな。
縛られている彼を解放しながら、リンの顔に涙がしみた。
リン
リン
本当にバカね。
ドレイクが目を開ける。
ドレイク
ドレイク
何をしてる?
リン
リン
ここからあなたを脱出させるの。
ドレイクは救出しようとするリンを止める。
ドレイク
ドレイク
バカな真似するな。もし俺を助けたら、お前が危険な目に合う。
リン
リン
私がここにいることは気づかれていないから。
リン
リン
あなたが自分で逃げたように見せかける。
リン
リン
黙って、私につかまって。ヤツらはすぐにでも戻ってくる。
ドアが開く。
フォクシーが部屋に足を踏み入れる。
フォクシー
フォクシー
リン?
フォクシーの背後の狭いスペースに、何人もの人が駆け込んでくる。
最後尾にジャックスがいる。
タトゥーだらけ男が急に足を止め、目の前の状況に顔をしかめる。
ジャックス
ジャックス
一体どうなってるんだ?
リン
リン